食事改善は一つのプロセスに過ぎない
乾癬などの自己免疫疾患は基本的に症状を引き起こす要因を取り除くという引き算の対策により、症状の発症が軽減もしくは消失するわけですが、僕が考える自己免疫疾患の最終的なゴールは“何でも消化できる体”を手に入れることかなと思っています。
人それぞれ何が原因で乾癬を発症するかが異なるので、全ての方に当てはまるお話ではありませんが、乾癬発症に食事など何らかのアレルゲンが関与しているケースでは関係するお話です。
症状を引き起こすトリガーとなるのは特定の食品、あるいはハウスダストなどアレルギーの元となる物質ですが、それを鼻や口、皮膚から取り込むことによって皮膚疾患の症状が出る大きな要因は粘膜の弱さ・薄さです。
※薄さという表現が適切かどうか微妙ですが、説明の便宜上、このように表現しています。
粘膜は目や鼻、口の中、食道、胃や腸、肺、泌尿器、生殖器など至るところにあるわけですが、この粘膜から粘り気のある液体(粘液)が分泌されます。分泌された粘液により微生物などの外敵の侵入を防ぐ粘液層が形成されています。
つまりこの粘膜が弱かったり、薄かったりすることが容易にアレルギーを発症させてしまう一つの要因であるということです。
皮膚疾患における健康体とは?
皮膚疾患を引き起こさないという観点から健康な体というのはどういうものか?
①食べたものを消化できる胃酸や消化酵素の量
②善玉菌優位の腸内環境
③胃腸の働きの正常化
④胃壁・腸壁など粘膜の強さ・厚さの維持
上記四つの要因が全てというわけではなく、基本的にこの四つの要素を理解、重視することが重要なように思います。①、②については以前に述べたことなので割愛します。
④胃腸の働きの正常化
ストレスに強い人というのは精神面から言えば、物事の捉え方や考え方が柔軟であったり、多角的であったりするわけですが、身体的に見れば胃腸や肝臓などが強い人と言えるでしょう。
胃腸や肝臓が強いとはどういう状態かというと胃酸が少ないわけでも過多というわけでもなく、正常に分泌されて食べたものをしっかり消化でき、小腸でも胃から送られてきた消化物を、さらに細かく分解してくれるよう働き、大腸もしっかり働くことで便となりスムーズに排出されていく。
また肝臓がしっかり働けばアルコールや異物をきちんと解毒してくれ、NK細胞がウイルスに感染した細胞や老化した細胞を処理してくれるなど本来の適切な働きをしてくれる状態です。
胃炎
胃炎とは胃の粘膜で炎症が起きた状態を言い、過食、過度な飲酒、喫煙、ストレスなどが原因となる「急性胃炎」と、ピロリ菌の感染が原因となる「慢性胃炎」に分けられます。
慢性胃炎が長期的に続き、胃の粘膜が薄くなると、「萎縮性胃炎」という状態になり、胃がんの発症リスクが高まります。そして自己免疫疾患のリスクも当然高まるということです。
飲酒や喫煙、また人によってはカフェインや辛味など胃や腸の負担をかけるものを長期的に摂取することは胃や腸に負担をかけ、人間は老化をしていく生き物ですから若い年齢の時は何ら問題なかった食べ物、飲み物でも、徐々に体に負担となって体にダメージを与えていきます。
当然それに伴い粘膜も弱く、薄くなるリスクが高まります。
自己免疫疾患を防ぐ意味でも胃や腸の働きを弱めたり、粘膜に刺激を与えるものは0にすべきというわけではありませんが減らすに越したことはないでしょう。
③胃壁・腸壁など粘膜の強さ・厚さの維持

ここからが本題ですが、乾癬の発症で食べ物が関係している方はグルテンなどトリガーとなる食品を控えてらっっしゃると思いますが、その引き算の対策だけで十分症状の発症を抑制できている方は良いですが、その引き算だけでなく足し算が必要な方もそれなりにいらっしゃるはずです。
その粘膜を強化する為に必要なもの…。
それはビタミンA、亜鉛、グルタミンです。
亜鉛
皮膚疾患といえば亜鉛とビタミンAはよく目にすると思いますが、どれくらい重要などれくらい必要かを理解されている方が少ないかもしれません。
少し触れておくと肌や年齢で変わりますが約一か月で肌のターンオーバーが行われるわけですが、この細胞分裂の際に必要な酵素ポリメラーゼの働きの為には亜鉛が必要です。
また皮膚の粘膜保護という観点から傷んだ細胞を修復するタンパク質であるヒートショック・プロテイン70(HSP70)が重要で、この働きにも亜鉛が必要。
ちなみに体内に存在する亜鉛の内、20%が皮膚に存在しており、亜鉛は男女とも必要ですが男性の方が必要量が多いです。
有沢祥子医師は亜鉛でアトピー治療をされてらっしゃり、書籍も出版されていますがご自身が発信されているYoutubeの動画が複数本アップされているので興味ある方は一度ご覧頂ければと思います。
誤解する方がいても困るで念の為、亜鉛を大量摂取したからといってすっかり自己免疫疾患が治るというわけではありません。発症の機序は人それぞれで、あくまで人によっては亜鉛のメガ量摂取で劇的に改善する場合があるということです。
ビタミンA

画像引用:https://orthomolecularjapan.co.jp/
ビタミンAは皮膚の表皮であったり粘膜の形成に欠かせないわけですが、このビタミンAはそれ以外に感染症の予防など免疫に大きく関わっており、体内にきちんと充足させておくべきビタミンです。
このビタミンAはレチノールという形で動物性食品に多く含まれており、これがレチナールに酸化され、活性型のレチノイン酸にとなり細胞の遺伝子に直接働きかけを行い、様々な体への良い作用を及ぼします。
このレチノール代謝には亜鉛が必要なのでビタミンAの働きという観点からも亜鉛は重要です。
またこのビタミンAの代謝を阻害するのはアルコール摂取、粗悪な油です。
ですからお酒好きで揚げ物や油物好きな方は、仮にビタミンAが含まれる食べ物やサプリを摂取していたとしてもきちんと代謝されていない可能性が高いというです。
代謝というのは摂った栄養を体で使えるようにするなどの化学反応です。
腸管粘膜とビタミンA

画像引用:https://static.wixstatic.com/
免疫細胞が働く前に粘膜自体が免疫の働きをするわけですが、例えば腸管粘膜に病原体が付着した際、IgA抗体が攻撃してくれます。このIgA抗体の働きにビタミンAが必要。
グルタミン
まず、グルタミンのお話をする前にグルタミンとグルタミン酸とは異なりますのでご注意下さい。
小腸の主なエネルギー源はグルタミンで腸粘膜の修復をしてくれるだけでなく、胃腸粘膜の成長を促し、腸の炎症も抑制。
また自己免疫疾患では食べた物をしっかり消化する消化酵素が重要ですが、それには膵臓の働きが重要でそういったものを放出する時にもグルタミンが必要。
さらにタイトジャンクションの形成も促進し、免疫細胞のT細胞を増殖する極めて重要な栄養素です。
※タイトジャンクション形成には他にビタミンD、タウリンも必要ですがあまり意識する必要はないと思います。
タイトジャンクションについては下記のリーキーガットのページで述べましたのでご覧になっていない方はご参照頂ければと思います。
⑥リーキーガット症候群と腸内環境①
ストレスや怪我はグルタミンを大量消費させる
ストレスの多い生活であったり、怪我をするとグルタミンが大量に消費されると言われています。
ストレスは万病の元ですがストレス過多は副腎に負担をかけたり、体内に存在しているアミノ酸、ビタミン、ミネラルを総動員して身体を正常な状態で維持しようとするわけですが、枯渇してくることで様々不調を引き起こすということです。
グルタミンは熱に弱いので基本的にサプリや粉末での摂取が有効です。
ちなみに小腸の粘膜は数日で入れ替わるので、ここまで述べた栄養を継続的にしっかり摂っていけば、その変化は体感できてくると思います。
ただし、必要な栄養を摂りつつ、体の働きを悪化させるものを控えることが前提です。
グルタミン摂取の注意点
グルタミンは一部グルタミン酸に変換されます。グルタミン酸は脳の興奮を高めるので精神疾患がある方は要注意です。
粘膜強化に必要な栄養素
粘膜強化に必要な栄養素はビタミンA、亜鉛、グルタミン。
ですが、この三つさえ摂取すれば良いというわけではなくビタミンやミネラルはお互いが力を合わせて、その力を発揮し上記三つの働きをきちんとさせる為にはビタミンB群、マグネシウムも必要です。
湿疹などの皮膚疾患は全般的にビタミンB群が不足していると言われており、特に鱗屑にはビタミンB6(ピリドキシン)が不足していると言われています。
※だからといってビタミンB6サプリを大量摂取すれば良いとの考えはNGです。それだけ大量に飲んでも改善しません。
またマグネシウムが不足しているとビタミンB6の必要量が増えます。
ということは鱗屑はビタミンB6の不足が原因→B6の不足は単にB群の摂取が少ない可能性もあるが、マグネシウム欠乏が遠因となっているかも?と推測できます。
このように色々と書いてしまうと難しいと感じる方もいたり、あれもこれも摂取する必要あるのか?と混乱してしまう方もいるかもしれませんが実際に何を摂るかどうかと知識を得ていくことは別問題ですので。
掌蹠膿疱症とビオチン療法
掌蹠膿疱症にはビオチン療法が有効であるとの見解があり、その治療法を取り入れてらっしゃる皮膚科もありますがビオチンもビタミンBの一種でビタミンB7、ビタミンHとも呼ばれています。
ビタミンB群の働きを掘り下げ過ぎると脱線するのでこの程度にしておきますが、ビタミンB群の中のどれか一つが必要というより、B群として全体的にそれなりの量が必要で不足していては絶対にダメなビタミンです。
治り切らない方は足し算が必要かも
乾癬の症状を引き起こす食品の摂取を回避することで、比較的軽度の方は症状が全く出ないと思いますし、中等度の方の場合も腸内環境を整えるシンバイオティクスを取り入れることで、それなりに症状の軽減を実現できていると思います。
しかし病気というのは「軽症・中等症・重症」があり、これだけの対策では改善しない、或いは改善し切れないというケースが当然あります。
例えば頭皮や体の一部だけ改善しないといったケースです。こういう方の場合は踏み込んで、ここまで述べた対策をすることで完治と言える状態になる場合があります。
自己免疫疾患の原因となるのは千差万別ですが先天的な体質、後天的な環境や体質変化によって、粘膜が弱い状態の方は食事程度の小手先の対策では胃腸や消化器官の働きを正常にすることができないわけです。
本来、体はバランスが取れているのが正常でその均衡の取れた良いバランスではなく、バランスとは相対的というなのでどこかが強ければ、必然的にどこかが弱くなるわけで、その凹凸や歪さが体質というわけです。
その弱さを補い、バランス良く体に働いてもらうのが分子栄養学であり、それを特定の栄養素を摂り入れて、薬理効果を生み体の不調を劇的に改善させるのが分子栄養学の真髄です。
ですから、なかなか治り切らないという方は一度粘膜強化の対策をされれば良いと思います。
粘膜が強化されることで乾癬の皮膚症状を引き起こす食べ物への耐性が身についたり、粘膜強化で頭皮の鱗屑や角化異常が出なくなったケースを僕は数多く見てきました。
各ビタミン等の必要量
粘膜強化には亜鉛・ビタミンA・グルタミンの三つが特に必要であることを述べてきましたが、ではどの程度摂取する必要があるのか?
この必要量は個人差が大きいので、これくらい摂ってくださいと言うのは正直難しいです。
ただ目安をお伝えすると、まず亜鉛ですが一般的な健常者の一日の摂取量はせいぜい男女で10mg~20mgの範囲でしょう。
しかし粘膜が弱く自己免疫疾患を引き起こしやすい体質という前提に立つと、この量では足りません。
ですから粘膜が弱いと自認されている方は30mg~100mgの摂取してみてください。
ただし、これから永遠にこの量を摂り続けてくださいというわけではありません。
一時的に粘膜強化をする為に少し多めに取って、強化されていけば体感で分かってくるので徐々に量を減らしていきましょうという感じです。
ちなみにアトピーの方で1日に100mg摂っている方、200mg摂っている方も何人も知っています。小柄な女性でも200mg摂っている方は数多くいらっしゃいます。ただし一時的にです。

摂取量が過剰であるとか不足しているというのは、その数値的な量だけで判断すべきものではありません。
例えば、上図を例にすると道に穴ができており、その穴を埋めて平坦な道にする為はAさんは亜鉛を20mg摂取する必要があり、Bさんは70mg摂取する必要があるということです。
単に穴という不足部分を補うだけなので過剰摂取とはなりません。
ビタミンCにおいても、以前述べたかもしれませんがアトピーの方は尋常ではないくらい必要です。
一般的な健常者の場合ビタミンCは一日に1g~2g程度摂れば良いと言われていますが、アトピーの方の摂取量を分子栄養学的に言うとビタミンCを一日に10g~40gという10倍から40倍摂ります。
お話が色々と前後しておりますが、この事を踏まえて読み進めてください。
ビタミンA
ビタミンAは個人差が非常に大きいビタミンと言われており、冬場など乾燥する時期か夏場かでも必要量は変わってきます。乾燥時期の方が必要です。
一般的にビタミンAの一日の必要量は2000IU程度だと思いますが粘膜強化という観点でいえば、5000IU~を一定期間摂る必要があると思います。
ちなみにビタミンAは3万、5万IU摂る方も少なくないです。Xでお調べになれば分かります。
僕も一時的に一日5万IU~7万IU摂っていました。
ビタミンAに限らずですが妊娠されている方は高用量摂らないでください。
グルタミン
グルタミンは肉や魚、卵、大豆、卵等、一般的な食品に含まれていますが熱に弱いのでサプリ等での摂取が有効。
グルタミンの摂取量は1日3g~10g程度です。
※再度お伝えしますがグルタミンは一部、グルタミン酸に変換されます。グルタミン酸は脳の興奮を高めるので過剰摂取はNG、特に精神疾患ある方は要注意です。
摂取しているもの
僕が摂取しているものをご紹介いたします。

①Bluebonnet Nutrition, ビタミンA、10,000IU
ビタミンAをサプリで摂取する場合、天然素材のものを摂取した方が良いです。合成のものは過剰症になりやすく、頭痛を引き起こしやすいです。①は魚肝油由来です。
またビタミンAは酸化しやすいのでプラスチックではなく瓶に入ったサプリが良く、①は瓶入りです。
ビタミンAだけではないですがいくつかビタミンAサプリを飲んで、個人的に一番効果があったものです。ちなみにマイナス点は大豆油が含まれているところですが脂溶性ビタミンなので油を含有しているものと思われます。
②Jarrow Formulas, L-グルタミン
グルタミンの粉末です。粉末にしているのは量が調整しやすいという理由です。グルタミンは空腹時に飲む方が良いと言われていますが、普通に食後に飲んで効果を感じています。
③NOW Foods 亜鉛50mg
亜鉛は胃に負担の大きいサプリなので空腹時に飲むと吐き気がするなど気を付けたいサプリです。しっかりと食事を摂った後の摂取が望ましいです。
④Doctor’s Best, PepZin GI®(ペプジンGI)、亜鉛-Lカルノシンコンプレックス
こちらも亜鉛なのですがLカルノシンが含まれています。カルノシンは胃の粘膜保護の効果があるとされており空腹でも飲めます。ただネックなのが高価なのでコスパが悪い点です。
二種類の亜鉛をご紹介していますが、特に理由はありません。今はほとんど③を飲んでいますが、たくさん買ってストックがあるのでストックを消化する為に④も時々飲んでいます。
最後に
自己免疫疾患における最終的なゴールは健常者のように何でも消化できる体にすることだと思っていますが、その消化力を高める為には食物酵素など消化酵素の対策を講じるなどが有効ですが、胃腸など消化官の働きを良くする粘膜の対策も必須です。
ここまでをきちんと行えば、何でも消化できる体質に生まれ変われるか?と問われると人それぞれとしか言いようがありません。
特に体は高齢になればなるほど対策を講じても、回復できるレベルに限界があるので若ければ若いほど早ければ早いほど良いです。
粘膜対策によって皮膚疾患の異常であったり、簡単にトリガーとなる食品を摂ると症状が出てきたが少し摂ったぐらいでは動じない体質になれる可能性は誰にでもあります。
現状ではこの対策が最終的なゴールのように思うので、今後なかなか真新しい情報を発信しないと思いますが、ここまで述べてきた対策だけで十分乾癬の症状は和らぐ、もしくは完治するはずです。
どうかこういった情報で一人でも多くの方が完治、寛解されることを願ってやみません。
目次
①乾癬の主な原因
②胃腸の対策
③消化酵素サプリと塩酸ベタイン
④ピロリ菌と自己免疫疾患
⑤アマルガムは想像以上に悪影響
⑥リーキーガット症候群と腸内環境①
⑦リーキーガット症候群と腸内環境②
⑧重度の場合は解毒が必要かもしれません
⑨自己免疫疾患における最終的なゴール
➉消化吸収の有用な対策
⑪カンジダの基礎知識とバイオフィルム等の対策
⑫カンジダ除菌とダイオフ
⑬有害重金属の検査とデトックス・キレーション

